ZUAN&ZOKEI by Makoto Kagoshima

vol.5 絣 Q2 どうしてこの図案になったの?

Q2 どうしてこの図案になったの?

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.5は、絣(久留米絣)です。

biotope(以下・b):絣の伝統的な柄といえば、小花柄や幾何学模様です。でも、鹿児島さんとコラボレートするなら、ひと目でそれとわかる図案のほうがいいと感じて、大きい柄であることとに加え、動物柄をお願いしました。

鹿児島(以下・鹿):最初のイメージでは、ワニの図案を想定していました。久留米絣は反物なので、横幅が約37cmと決まっています。その生地幅をいっぱいに使って、両側にワニがいる図案を描きました。

b:その図案をもって、織元の下川織物を訪ねましたね。

鹿:そうでした。僕としては、ワニの図案で気持ちがほぼ固まっていたんですが、打ち合わせで、衝撃的なことがあってね。考え方ががらりと変わった、というか。びっくりしました。

b:糸を染める段階から、絵柄が決まっていくという前回のお話ですよね。

鹿:そうなんです。でも、何が衝撃的だったかといえば、そのときにみせていただいた生地サンプルです。その生地の模様がすごくよかった。何がよいって、色の入り方がものすごく格好よかったんです。

スマホの画面にワニの図案が表示されている写真

b:縦糸と横糸、それぞれの柄の入るところを染めてから、織りはじめるということの意味が、よく分かるサンプルでしたね。

鹿:久留米絣は、最初に縦糸を染める。ということは……。

b:つまり、縦方向のどこに色が入るかは、縦糸の染めの段階で決まってしまうということですよね。

鹿:そうなんです。その縦糸に横糸を通して織ることで、少しづつ柄をだしていくんですが、面白いのは、織り進めるうちに横糸はどうしてもズレるけれど、縦糸は、決してずれないということ。つまり、縦糸にあらかじめ染められた柄は、バシッと決まっていて決してずれないわけです。

b:その縦糸の入り方に、鹿児島さんは、すごく心を動かされていましたね。

鹿:はい。縦糸がバシっと入ることで絵柄がキリッと決まるかんじが、とても格好よく見えました。自分の図案を使っていただく絣でも、それをやっていただきたいと思ってしまったんです。

b:これでお願いしたいです、というかんじでしたね。

鹿:下川織物さんに「縦糸が格好よくでる図案を、もう一度考えます!」とお伝えして、その日は一度帰りました。

b:後日、鹿児島さんから、久留米絣のために考えた新しい図案をいただきました。

図案の原稿用紙の写真

鹿:縦糸の色を生かす意味で、大きめの花のモチーフを両端にいれました。その下に犬を描きました。花の中にドットが並んでいる部分を見ると、一本一本の縦糸が、白と黒に染め分けられていることがわかると思います。

b:インパクトのある図案だと思いました。図案は、実際は、何に描いたんですか?

鹿:久留米絣は、織り幅いっぱいの絵柄を何度もリピートして織り進めるわけですが、その最小単位の大きさ(横糸154本)の原稿用紙が織元にあって、糸の染め分け方を想像しながら絵を描けるようになっているんです。そこに、僕は手描きで図案を描きました。

b:面白いですね。その原画を元に図案師さんが専用の図案用紙に図面を起こして、染め分けの設計図をつくり、括りの職人さんが、その設計図にそって糸を染めていきます。

鹿:縦糸、横糸それぞれの、色を染めるところと染めないところを把握しながら、職人さんが染めていきます。

b:鹿児島さんが描いた原稿用紙を見て、下川織物さんは、どう感じたのでしょう。

鹿:まず、織りの構造として、犬の目は、黒では表現できないことが発覚しました。

b:それで犬の目は、グレーなんですね。

鹿:はい。結局、目の色は、縦糸と横糸が交わる部分としてグレーになりました。

b:今回の久留米絣は先染めで、1回の生産分36反(1反=12メートル)を一気に染めます。一度、織り始めたらやめることも、途中で柄を変えることもできません。

鹿:久留米絣の魅力は、縦糸と横糸が交わることにより、優しい雰囲気の柄に仕上がるところです。織物の場所によってぼんやりとしていたりすることもあるけれど、それが、いい味になっています。

b:それも、久留米絣ならではですね。

鹿:職人さんを信頼して任せてこそ、自分ではできないものができあがる。第三者の方とコラボレートしてものづくりさせていただく面白さのひとつだと思っています。

次回は、あずま袋とクッションのプロダクトの話を聞かせてください。

織り機の中で図案が徐々に形になっていっている写真

Talk with Makoto Kagoshima vol.5 絣

Talk with Makoto Kagoshima 記事一覧を見る