ZUAN&ZOKEI by Makoto Kagoshima

vol.6 壁の鳥 Q2 どんなふうにプロダクトにしていったの?

Q2 どんなふうにプロダクトにしていったの?

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.6は、LINNUT 壁の鳥です。

biotope(以下・b):LINNUT 壁の鳥のプロダクト化にあたっては、JÄNIS ウサギの花器と同じく、波佐見の原型師・石原重行さんに制作をお願いしました。

鹿児島睦(以下・鹿):石原さんは、素晴らしい技術をもった職人さんで、焼き物の歴史や技法のことはもちろん、古いものや、海外の焼き物にもとても詳しい方です。僕は、石原さんと知り合ってからずいぶん長くて、とても尊敬しています。

b:石原さんは、鹿児島さんの作品をいくつも持っていらっしゃるそうですね。

鹿:そうなんです。とても光栄です。石原さんは、壁の鳥のハンドメイド作品も気に入ってくださってたくさん買ってくださっています。ご自宅の壁にかけてくださっているんです。

b:そんな石原さんに「壁の鳥をプロダクトにしたい」とお願いしました。

鹿:あんまり感情を出さない方なのでお気持ちがどうなのかはわからなかったですけど、お願いしたときは、「あ、これつくると? 可愛いかもんね」みたいにいってくださったと思います。

b:喜んでくださったんですね。

鹿:ウサギの花器のときと同様に、今回も図面を描くということはせず、アナログなやり方でお願いしてしまったのですが、石原さんは、すぐに対応してくださいました。

b:ハンドメイドのLINNUT 壁の鳥の型紙を、石原さんに見せたんですよね。

鹿:そうですね。石原さんが、壁の鳥のことをよく知ってくださっていたので、原型は早めにできあがりました。

波佐見の原型師・石原さんの写真

b:今回は、石膏型で生地を成形する生地屋さんが、とくに大変だったようですね。

鹿:そうなんです。壁の鳥で採用した技法は「圧力鋳込み」といって、石膏型に土を流しこむときに圧力をかけて、くちばしや羽の先まで、泥しょう(生地)が流れ込むようにする技法なんですが、この方法は、泥の重さと型の重さが相まって石膏型がとても重くなってしまうんです。

b:重労働ですね。

鹿:泥しょうを流し込んだあと、表面だけが固まったタイミングで、重い石膏型をひっくり返して、余分な泥(生地)を外に出さなければいけない。大変な作業です。それだけではありません。今回は、凹凸がある形なので、表面張力で泥が出てきにくい箇所もあったそうです。

b:泥がうまく出てこないと、どうなってしまうんですか?

鹿:泥を出すのに時間がかかると、固まってしまい全体が重くなります。さらに、泥の厚いところと薄いところというように、生地が均一でなくなってしまうこともあります。

b:均一でないと、どういう問題がおきますか?

鹿:焼くときに割れてしまう恐れがあります。厚いところは焼くのに時間かかり、冷めるのも遅い。薄いところは、すぐ焼けてすぐ冷める。その違いが割れにつながるんです。

b:なるほど。ひと口に焼き物といっても、形の違いによって気を配る箇所は、それぞれなんですね。

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鹿:波佐見は、磁器の産地でたくさん生地屋さんがありますが、壁の鳥は、このように工程に工夫が必要で大変なので、最初はどこも引き受けてくれなかったと、石原さんがおっしゃっていました。石原さんは、原型師さんですが、下請けの業者さんに掛け合って、ひとつのプロダクトを商品化するための道筋をコーディネートすることもしてくださいます。

b:そんな中、一軒だけやってくれるという生地屋さんが見つかったんですよね。

鹿:はい。石原さんの紹介で、村松さんという生地屋さんが手をあげてくれました。

b:実際に制作している現場に、一緒に伺いましたよね。

鹿:そうでしたね。そこでわかったことは、石膏型から、泥を出す工程がとても難しいということです。しかし、その生地屋さんの二代目にあたる若い男性が、石膏型にゴムのチューブを差し込んで息を吹きかけることで、泥をぬくというやり方を思いついてくださったおかげで、均一な生地を作ることができたんです。これは、めずらしい技術ではないと思いますが、重たい石膏型を手でもって、ひとつひとつ泥をぬくというのは、ほんとうに重労働で大変な作業。それでも、引き受けてくれました。

b:生地屋さんは、まさに職人。LINNUTのために創意工夫をしてくださったことに大変感動しました。

鹿:はい。そういう尊い仕事をしている職人さんたちのおかげで、LINNUT 壁の鳥ができていると思うと、ほんとうにありがたいです。

次回は、釉薬や色の話を聞きます。

壁の鳥の手書きイラストの写真

Talk with Makoto Kagoshima vol.6 壁の鳥

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