ZUAN&ZOKEI by Makoto Kagoshima

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Q3 てぬぐいの色はどうやって決めたの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.7は、てぬぐいです。

biotope(以下・b):てぬぐいの色のインスピレーションは、フィンランドやスウェーデンでのテキスタイルの色使いをイメージしていました。赤、青、茶色、グレーの4色展開です。鹿児島さんは、どの色がお気に入りですか?

鹿児島睦(以下・鹿):僕は、魚を描いたネイビーが好きだと思っていましたけど、いまこうやって改めて見ると、赤いてぬぐいって、いいですね。蛇の図案のてぬぐいというのは、我ながらよかったなと思います。新鮮ですね。

b:ちなみに、人気は、グレーの鳥なんですよ。

鹿:そうなんですか。

b:落ち着いた色味なので、お部屋やキッチンになじむところが、いいのかもしれませんね。

鹿:そういう意味では、biotopeが提案してくれたこの4色は、いわゆる日本のてぬぐいとは、違った印象のものになりましたね。

鹿児島さんの引きの写真

b:そうですね。海外の人にお土産にしてもらいたいとも思ったので、色のセレクトには頭を使いました。

鹿:図案のどの部分に色をのせるのかも、皆で相談しましたね。動物の柄を色で染めるのか、背景を染めるのかで、出来上がりの印象が全然違ったので。

b:そうやって色を決定した上で、最終的な色の調整は、アートディレクター前田さんにお願いしました。前田さんは、なにか苦労したことはありましたか?

前田景(以下・前):てぬぐいには、専用の染料があるので、いつものデザインワークのように、カラーチップで色を指定するというわけにはいかなかったんです。染色した端切れをまとめた染料の見本帳からセレクトするんですが、見ればみるほど、その色がいいのかわからなくなってきたりもして(笑)。色の選定には、すこし時間がかかりました。

b:色数が豊富だったから、選ぶのに時間がかかったんですか?

:いえ、色数というよりも、全体に和の印象を与える色味が多かったんです。今回は、てぬぐいといっても、和風になりすぎないほうがよかったので、そういう色を探して決定するのにすこし時間がかかりました。生地を地染めして生成りにするか、真っ白にするかでも、色の出方が違うんです。

b:かまわぬさんは「白は、涼しげな印象で、夏に人気」で、「生成りは、あったかい印象でオールシーズン人気がある」とアドバイスしてくれましたよね。

:はい。白い生地に色をのせると、より和風な印象になる気がしたので生成りを選びました。

てぬぐいのアップの写真

b:伝統工芸シリーズは、これで三回目ですが、日本のものづくりとコラボレートするときに、鹿児島さんがこだわっていることはありますか?

鹿:こだわりというのとはちょっと違うかもしれませんが、伝統工芸シリーズの図案を描くときは、自分がどこかの国の日系3世くらいになったイメージで取り組むようにしています、笑。

b:えっ?それはどういうことですか?

鹿:日本人だけれども、伝統工芸に対する知識も経験も少ないというような、架空の人を勝手に設定して取り掛かるんですよ。

b:それは、とても面白いですね。鹿児島さんらしいアプローチかもしれません。

鹿:伝統工芸は、歴史もあり、とにかく奥が深いものなので、本来、僕が短期間で学んだくらいでは、関われない仕事だと思うんです。コラボレートさせていただくのは、ほんとうにありがたいですが、勉強しても、到底、追いつけません。そこで、あえて日本人としてではなく取り組むような考え方をしています。

b:伝統工芸の真髄を分かりすぎても、よくないということでもありますか?

鹿:そういう感覚はありますね。もちろん、それぞれの工芸について、できるかぎり勉強をさせていただいて、工場や工房に足を運び、お話を聞きます。ただ、すべてをわかりすぎてしまうと、自由な発想が出にくくなるというのはあるんじゃないかと思います。

b:それで、どこかの国の日系3世という設定になったんですね。

鹿:はい。どこの国の誰とも、どこで育った人ともわからない人に、成り変わったつもりで、その工芸をはじめて知った人の気持ちになってみると、新たな発見もあります。

b:伝統工芸シリーズは、これからも続けていけるといいですね。

 

てぬぐいを干している写真

Q2 「かまわぬ」さんとどんなやり取りをしたの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.7は、てぬぐいです。

biotope(以下・b):「かまわぬ」さんとのコラボレーションでは、まず、鹿児島さんが図案を描き、熟練の型紙職人さんが型紙におこします。それをもとに注染(ちゅうせん)という染めの技法で、てぬぐいがつくられていきました。

鹿児島睦(以下・鹿):これが、てぬぐいの原画です。僕は、プロダクトのために図案を描くときには、できるだけ実寸に近い大きさで描くようにしています。てぬぐいの図案は、実際の2分の1の大きさで描いていきました。

b:何を使って描いているんですか?

鹿:白い紙にえんぴつで下描きをして、カラーインクで塗っていきました。

b:切り絵のようなかんじにも見えますね。

切り絵っぽい原画の写真

鹿:そうなんです。実はそれを狙っていました。

b:そうみえるのには、なにか理由があるんですか?

鹿:はい。切り絵のようなかんじに見えるように、下書きの線の内側(つまり動物の体の部分)ではなく、線の外側(背景の部分)を塗りつぶす方法をとっています。

b:それは、なぜですか?

鹿:なんというか、いい意味でのハプニングが起こりやすいというか。下書きの線の外側を縁取るかんじで筆を動かすと、筆の線が自然とカクカクしていって、面白いラインになったんです。

b:そのカクカクした線が、切り絵のような印象を与えているんですね。

鹿:そうですね。綺麗すぎない線というんでしょうか。「これでいいの?」とか「お、面白い」というような線をあえて出すように、心がけました。つじつまを合わせないでやっていくほうが、面白いことが起こることがあるので。

b:その狙いが、的中しましたね。

鹿:実際に、切り紙で図案をつくって、それを構成していくことも考えたんですよ。動物や植物の図案をたくさん切って用意しておいて、てぬぐいの画面の中に置きながら構成するのも楽しいのではないかと。ただ、ちょっと時間が足りなくて断念しました。

b :職人さんは、カクカクした線も綺麗に再現してくれましたよね。

鹿:そうなんです。すごいですよね。僕は、お話を伺うまでは、てぬぐいの版は、図案をデータで入稿してつくるものだと思っていたんですけど、実際には、いまでも職人さんが手作業で型紙を切っていくんです。

b:それも、図案の再現性がすごく高いですよね。

鹿:素晴らしいお仕事だと思います。

てぬぐいの寄りの写真

b:今回は、てぬぐいのふちに「MAKOTO KAGOSHIMA 2015 ZUAN&ZOKEI」という文字も染めてもらいました。

鹿:僕が手書きで書いた文字を、型紙の職人さんが切り出して型紙にしてくれました。

b:サインの代わりに素朴な手書き文字が入って、いいかんじになりました。

鹿:図案に関していえば、1がなくていいのだろうかとも思いましたが……。1は、いつかなにかに使いたいと思っているんです。

b:そうなんですね、楽しみです。でも今回のてぬぐいは、あえて2からはじまったのもよかったと思います。

鹿:このパッケージもとてもいいですよね。ZUAN&ZOKEIのパッケージデザインも、すべて、アートディレクターの前田景さんがしてくださっています。

次回は、色をどう決めていったのかを聞かせてください。

原画と鹿児島さんの写真

Q1 どうしてこの図案になったの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.7は、てぬぐいです。

biotope(以下・b):2015年の「鹿児島睦の図案展」にあたり、伝統工芸シリーズとして「かまわぬ」さんとコラボレートさせていただきました。

鹿児島睦(以下・鹿):伝統工芸シリーズの第三弾ですね。

b:てぬぐいといっても、鹿児島さんに図案を考えていただくならば、やはりインテリアとしても楽しめるものがいいと思いました。タペストリーというか、天地があって飾れるものにしたいと、鹿児島さんにお願いしたと思います。

鹿:そうでしたね。僕の自宅に参考になりそうなタペストリーがあったので、biotopeのみなさんにお見せしたりしながら、やり取りをしました。そのタペストリーは、絵柄の中に一連のストーリーがあるようなものでした。

b:てぬぐいは、海外の人にも人気なので、タペストリーを参考にすると面白い図案ができて、より興味を持ってくれる人がいるのではないかと考えました。

鹿:そううかがったので、あえて、日本のいわゆるてぬぐいというのは意識しないようにしました。

へびの図案の写真

b:でも今回は、図案を生み出すのに、いつもよりすこし時間がかかっていらしたような気がしましたが、どうですか?

鹿:そうだったかもしれません。面白い図案にしようとしすぎていたような気がします。例えば、この蛇の図案は、当初は、画面の中にもっと凝ったかんじで配置していたんです。画面全体を使って、蛇が絡み合っているような案でした。でも、その構成だとあんまり面白くなくて。

b:発想を変えたんですか?

鹿:はい。単純に、てぬぐいの面積を、2、3、4、5で割っていくという考え方にしたんです。てぬぐいをふたつ折りにしたときに、見ためにもよい図案とはどんなものだろうと、あるとき、ふと考えたのがきっかけだったと思います。

b:鹿児島さんは、フィンランドのテキスタイルメーカー、Lapuan Kankuritとコラボレートして、ブランケットやキッチンタオルの図案も手がけています。ファブリックの図案というとこで、共通する部分などあったのでしょうか。

鹿:Lapuan Kankuritのキッチンクロスの図案を考えたときも、実際に使うときに図案がどう見えるかというのは、考えましたね。二つ折りにしたときにどう見えるかとか、吊るしたときにはどうか、とかですね。ブランケットは、ほぼ実寸で考えて、まわりを花で囲んでから、内側を描いていったと思います。

b:その考え方で、てぬぐいを折ったときの見え方まで想定していったんですね。

鹿:そうですね。使うときに絵柄がどうでるかというのを考えることは、大事なことだと思っています。

b:てぬぐいの面積を、2、3、4、5で割っていくという案になってから、図案ができあがるまでは、そんなに時間がかからなかったような気がします。

鹿:そうですね。描くスペースが決まったので、あとは、どんな絵にするかを考えるだけでした。

てぬぐいが4枚並んでいる写真

b:2、3、4、5と動物の数が増えていくというのは、いいアイデアでしたね。展示会で連続して壁に飾ってみると、その構成がよくわかり、より面白く感じられました。

鹿:最初の2は、すこし考えたかもしれません。てぬぐいは、2つ折りにすると正方形に近い形になりますよね。実は、正方形は、動物を描くには、すこしやりにくい形です。蛇みたいに、動きがあるほうが面白いかなと思いましたね。

b:3の図案は、犬です。

鹿:3匹すべて、おなじ犬ではつまらないと思ったので、最初に大きい犬を描いて、次に小さい犬を描いて、最後に、その間に横向きの犬を配置しました。

b:4は、鳥です。

鹿:4等分というのは、折ったときの大きさもよく、描きやすかったですね。

b:5は、お皿の図案としても人気の魚です。

鹿:均等に5で割って描くと図案として面白くなかったので、魚一匹だけは小さく描きました。

b:陶芸作品に描くというのも、お皿というスペースの制約の中で描く作業ですよね。陶器とてぬぐいで、描くときの違いはありましたか?

鹿:考え方はおなじですね。ただ、新しいことをやろうとするときに、僕は、ちょっと凝り過ぎてしまうことがあって。そんなときは、よく奥さんに「いつものように、お皿に描くようにやればいいのよ」と言われるんです。毎回そう言われて「そうか、そうだよな」と気持ちを入れ替える。毎回、そうなるんです、笑。

次回は、かまわぬさんとの製作について教えて下さい。

鹿児島さんがてぬぐいについて話している写真