ZUAN&ZOKEI by Makoto Kagoshima

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Q3 どうやってプロダクトに仕上げたの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.2は、JÄNIS ウサギの花器です。

b:波佐見の原型師の石原重行さんのおかげで、とても綺麗な原型ができあがり、あとは成形して焼くだけとほっとしたのもつかの間、どの色で商品展開するかの検討が始まりました。

鹿:白はつくりたいと思っていました。それ以外は、ほとんどbiotopeにお任せでしたね。

b:釉薬を扱うところにも、一緒に行きましたよね。すごくたくさんの色があって、決めるのに苦労しました。

鹿:ラビットファーという名前の、まさにウサギの毛をイメージした釉薬もありましたね。

b:そうでしたね。

鹿:どんな色がお客様に受け入れられそうかとか、このプロダクトをどう紹介していくかなど、販売に関することは、基本的には、biotopeにお任せしています。

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b:いろいろ試してみた上で、結局ラビットファーは採用せず、白、ブラウン、ピンクに決めましたが、とくにブラウンは、理想の色を導き出すまでにはかなりの時間がかかりました。

鹿:窯の中でおきる変化を想定して釉薬を調合し焼成するのですが、最初から思い描いた色が出るわけではありません。すこしづつ調整しながら理想に近づけていくんです。

b:ブラウンは、赤茶色に転んでしまうことが多かったですね。納得のいく、いいかんじの色にたどり着き製品化するまでに、一年半くらいかかったかな。

鹿:その分、納得のいくいい色になりましたよね。

b:石原さんは、ご自宅の窯まで使ってその色を出すための試作を重ねてくださって、ほんとうに感謝しています。

鹿:そうでした。工場で釉薬をかけたウサギの花器をひとつひとつビニール袋にいれ、ご自宅に運び、またひとつひとつ袋から出して、自分の窯に丁寧に並べて、焼いてくださいましたよね。

b:その石原さんの窯が、またすごく大きいんですよね。

鹿:波佐見の職人さんは、大抵、自分の窯を持っていますが、石原さんの窯はとくに大きい。だから、ウサギの花器だけでは、とても埋まらないんです。

b:その状態で焼くと、目指していた理想の色がでないから大変。

鹿:焼きものの窯というのは、詰め過ぎてもだめですが、余裕がありすぎてもだめで、ちょうどいい具合にものを詰めて炊かないと、熱の周り方が変わってしまうんです。それは、色の出方にも影響します。

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b:あと、ウサギが涙目になってしまうという問題もありましたね。

鹿:そうでした。ウサギの目の部分に窪みがあって、釉薬が一度そこにたまるんですけど、立てて焼く間にそれが流れて、涙のようになってしまうことがありました。

b:そういう細かいことを何度も調整してやり直して。石原さんは、ウサギの花器を焼くためだけに、ほんとうにたくさんの時間と手間をかけてくださいました。

鹿:僕は、3色とも、とても気に入っています。

b:陶芸家である自分の作品が、焼きもののプロダクトになることをどう思っていますか?

鹿: ZUAN&ZOKEI のプロダクトは、自分のものだけど、自分のものではないような感覚があるのがいいと思っています。だって、これほど精巧なものは、自分では作れないじゃないですか。自分の作品がプロダクトになっていくのは、とてもうれしいです。

次のインタビューは「ペーパーアイテム」についてです。お楽しみに。

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Q2 波佐見の職人・石原重行さんてどんな人?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.2は、JÄNIS ウサギの花器です。

鹿:石原重行さんは、波佐見焼の原型師さんです。

b:わたしたちは、鹿児島さんに紹介していただいてはじめてお会いしました。石原さんと鹿児島さんのおつきあいはいつ頃からですか?

鹿:もうずいぶん長いですね。石原さんがお作りになる原型は、ほんとうに綺麗なんです。波佐見は、分業制なので絵付師さんもたくさんいますが、石原さんは絵付けもお上手で。その仕事がとてもいいということで、地元の職人をめぐるというような本で紹介されていたのを見たことがあったんです。

b:では、出会う前から石原さんのことを知っていたんですね。

鹿:そうなんです。その記事を読んで、こんなすごい方にいつか会えたらいいなあなんて思っていたら、ほんとうに出会ってしまった。会うたびにお話をして仲良くなるにつれ、石原さんは、とても勉強家なんだということがわかりました。

b:例えば、どんなことですか?

鹿:古いものも、新しいものも、焼きものに限らずなんでもよくご存知で、海外のものにも関心が高いんです。クラフトや焼きものの話は、ほんとうによくします。ルーシー・リーと親交が深かったことで知られるイギリスを代表する陶芸家、ハンス・コパーの作品を買おうかどうか迷っているとおっしゃっていたこともありましたね。

b:ヴィンテージの食器もお好きで、東京に来るといつもbiotopeに寄ってくださって、昔の作家の技法や釉薬の話など、私たちが分からないことを聞くと詳しく説明してくださいました。

鹿:ほんとうに、いろいろなことに詳しい方なんです。

b:そういう方に出会えたのは大きいですね。石原さんとのご縁がなかったら、ZOKEIのプロダクトづくりは、難航していたかもしれないと思うことがあります。

鹿:僕も、そう思います。石原さんがいらっしゃらなかったら、ウサギの花器をプロダクトにしたいと思わなかったかもしれません。石原さんがお作りになる原型は、ほんとうに綺麗ですからね。

b:とても頼りになる職人さんです。鹿児島さんのプロダクトの前に一度、biotopeで北欧のデザイナーによるカップを作ったときに、石原さんに仕事をお願いしたことがあります。石原さんは、そのプロダクトにも思い入れをもって取り組んでくださいました。

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鹿:JÄNIS ウサギの花器のプロダクト化にあたっては、まず、僕のハンドメイド作品から量産のための原型をつくっていただきました。さぞかし大変だったのではないかと……。

b:あのときは、ハンドメイドのウサギの花器をそのまま石原さんのところに持っていきましたよね。

鹿:そうそう。「石原さん、これをプロダクトにしたいんです!お願いします」とね。

b:一般的には、詳しい図面に起こして、持っていくんでしょうか。

鹿:そうだと思います。綿密に数字を出して図面にしてからお願いするはずです。でも、なにしろ僕は、アナログなので。

b:鹿児島さんと石原さんの長いおつきあいがあったからこそ、やってくださったんですよね。

鹿: 石原さんは動じることもなく、すぐに「よし、やってみるか!」といってくださいました。 通常は、こんな大雑把な注文は受けてくれません。ほんとうにありがたいです……。

b:できあがった原型がとても綺麗だと、鹿児島さん、私たちにも何度も教えてくれましたね。

鹿:ほんとうに、とてつもなく綺麗なフォルムをしているんですよ。

次回は、出来上がった原型からプロダクトを仕上げるまでのお話を聞きます。

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Q1 うさぎの造形はどうやって生まれたの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.2は、JÄNIS ウサギの花器です。

鹿児島睦(以下・鹿):僕がもともとハンドメイドで作っていた「ウサギの花器」をもとにして生まれました。この写真のものです。

biotope(以下・b):これは、学芸大学のbiotope時代、最初に個展をしていただいたときの写真ですね。

鹿:ウサギの花器は、陶芸家の僕がはじめて、器ではない立体造形に挑戦した作品です。

b:鹿児島さんの作品は、いまは器が多いですが、biotopeでの最初の個展は半分くらいが立体作品でしたよね。その中でもウサギの花器は、人気アイテムのひとつでした。

鹿:そうですね。

b:鹿児島さんは、いまはハンドメイドの立体作品をあまり作っていませんが、いずれまた見たいなと思います。ところで、ウサギの花器は、何かインスピレーションはあったんですか?

鹿:はい、ありましたね。ヨーロッパの民藝品の本で見たフェルトの……たしか何かのカバーだったと思うんですが、同じ形のフェルト生地を二枚縫い合わせて丸みを出したものでした。その造形がとても可愛らしくて、ひかれていて、粘土でもつくれるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

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鹿:こういう造形物は、石膏型で成形するのが一般的なんです。

b:そうなんですね。でも鹿児島さんは型紙でパーツをつくって手で合わせていますよね。

鹿:石膏型でつくるほうが、楽だし早いし綺麗にできるんですけど、僕のアトリエはそれほど広くないので、石膏型をつくってしまうと置く場所も限られてしまう。

b:立体作品は、ウサギの他にも、いろいろなモチーフのものを作っていましたよね。

鹿:そうですね。最近プロダクトになった壁の鳥もありましたし、ライオンとかいろいろありました。それぞれの石膏型を作って保管して置くことは、難しかったんです。

b:それで、自己流の作り方に?

鹿:僕がアトリエでひとりで制作するには、手で成形するほうが、スペースの面でも作業の面でも絶対に効率がよかったですね。

b:実際には、どうやって作り上げますか?

鹿:まずは、フェルト細工をするように、平たく伸ばした粘土に型紙をあて同じ形を二枚切り出します。

b:それを、重ね合わせる?

鹿:そうなんです。切り出した粘土の板に丸みをもたせて重ね合わせます。その後、継ぎ目を綺麗にならしていきます。

b:丁寧に継ぎ目をならしていくところに、けっこう時間がかかりますね。

鹿:そうですね。ひとつひとつなので、1日中作業してもそんなにたくさんはできません。

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b:確かに、この作り方だとあんまり場所を取らないですね。

鹿:そうでしょう? その後、種類がたくさん増えたので、当然、型紙も増えていきました。でも、こんなふうに棚に立てておけば場所もとらないんです。

b:オブジェでも十分魅力的なのに、花器にしたのはなぜですか?

鹿:陶器として、用途をもたせたかったんです。

b:鹿児島さんのハンドメイドの立体造形は、インテリアとして置いておくだけでもいいし、使っても楽しいのが魅力です。私たちは、そういうところもプロダクトに向いているんじゃないかと思っていました。

鹿:僕は、そのアイデアをすごくいいと思いました。でも、石膏型も使わず、完全に手でつくるこの造形は、プロダクトとして量産するには、難しい形だったと思います。波佐見の職人の石原重行さんに制作をお願いできたのが、よかったですね。

b:量産のプロダクトとして「JÄNIS ウサギの花器」を制作するにあたっては、波佐見焼のベテランの原型師・石原重行さんのお力をお借りしています。

次回は、石原さんとのものづくりについて聞かせてください。

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