ZUAN&ZOKEI by Makoto Kagoshima

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Q3 モビールやペーパーナプキンの作り方は?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.3は、ペーパーアイテムです。

b:モビールやペーパーナプキンは「お皿から図案を抜き出す」というのとは、またすこし違った考え方で作っているんですよね。

:そうですね。ぺーパーアイテムのもうひとつの成り立ちというか、作り方として、作りたいアイテムがすでに浮かんでいて、そのために、鹿児島さんに、新たに図案を描き下ろしてもらうという方法があります。モビールは、その方法で制作しました。

b:魚のモチーフのモビールですね。制作はtempoさんにお願いしました。

:はい。2014年に最初につくったモビールです。当初は、お皿の魚の図案だけで構成していたんですが、真ん中に円形のモチーフをいれるとモビールとして、揺れ方のバランスがよくなるのではないかとtempoさんが提案してくれました。

b:モビールは、動きが決め手なので、ゆらゆら動く様子を映像で送ってもらって、検証していきましたが、その中で、バランスのよいモチーフというのが見えていったんですよね。

:そうなんです。それで、真ん中にいれる円形のモチーフは何がいいかと鹿児島さんに相談したところ、新たにサンゴを描いてくれたんです。

b:風にそよいだときのモビールの動きかたについては、製作に関わるスタッフ皆で、とてもこだわりました。サンゴのモチーフが入ることで、より楽しい動きになりました。

モビールの写真

:2014年は、魚やサンゴのモチーフ。2015年は、図案展のテーマが「ひとつの図案にフォーカスする」ということだったので、その図案がゆらぐアシンメトリーな構成にしました。具体的には、花と蝶のモチーフに絞って使いました。

b:モチーフの数をいくつにするか、バランスをどうとるかなど、tempoさんが中心になって、何度もやりとりしてくれました。

:蝶々と花が、近づいては離れ、近づいては離れという動きにしたかったので、細かい部分を何度も調整しました。

鹿:モビールになることで、僕の図案が空間にとびだすというのは、すごく楽しくて嬉しいことだと思っています。ところで、ペーパーナプキンも、作るのにいろいろ苦労したんですよね。

b:ペーパーナプキンは、マリメッコのペーパーナプキンを印刷しているフィンランドの工場まで行って、印刷してきました。

鹿:その工場でしかできないことが、あったそうですね。

b:はい。その工場では、テキスタイルと同じようなプリントの技術で印刷するんです。あえて、すこし版ズレが出るような印刷なんですが、そのちょっとのズレが、マリメッコのテキスタイルを好む人の心を、無意識にとらえているのではないかと、私たちは昔から思っていて……。

鹿:どうしても、その工場で刷ってみたいといっていましたね。

:その工場で印刷することで、鹿児島さんの図案に、biotopeがこれまで関わってきたフィンランドのエッセンスが入るのは面白いと思いました。でも、版ズレをするというのは、リスクも高いということなので、心配ではありました。

b:それで現地まで行って印刷に立ち会ってきました。その場から日本にいる前田さんにメールを送りましたよね(笑)。

:そうでした。色味は画面でわかる範囲で確認しましたけど、日本からの指示では限界があります。現物を見るまでは、やっぱり心配でしたよ(笑)。実際は、思っていたよりもいい仕上がりになったと思います。

b:手間は、ちょっとかかりましたけど、その分、仕上がりがよかったです。

ペーパーナプキンの写真

鹿:ZUAN&ZOKEIのプロダクトは、みなさんのプロの仕事の集積でできているのがすごいなと思います。

:モビールやペーパーナプキンの版をつくるために、鹿児島さんが、パーツを描きなおしてくださったことも大きいですよ。

鹿:でも、僕はとにかくアナログだから、図案の原画はいつも手描きで。前田さん大変なんじゃないでしょうか。

:いえ、むしろそのほうがいいです。ZUAN&ZOKEIのプロダクトは、鹿児島さんの手描きの図案をもとにしているからこそ、量産のプロダクトでありながら、手仕事のあたたかみが感じられるんだと思います。

b:お客様もそこに気づいてくださるんだと思います。だから手にとり、持ち帰りたくなるのではないかと。

:うつわに描かれた図案には、筆の運びや絵の具の質感が感じられるし、陶器にのせた色には、グラフィックワークでは出せないやさしい雰囲気があります。ZUAN&ZOKEIとしてペーパーアイテムを作るということは、ハンドメイド作品の魅力を紙の上に改めて表現すること。だから、ハンドメイド作品と同じくらい、みんな欲しくなるんだと、僕も思っています。

次のインタビューは「唐紙」についてです。お楽しみに。

トレペ原画の写真

Q2 ポスターやポストカードはどうやって作ったの?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.3は、ペーパーアイテムです。

b:2013年に最初の「鹿児島睦の図案展」をしました。鹿児島睦の作品の魅力は図案にあるとして、絵柄の魅力を伝える展覧会です。

:最初のペーパーアイテムは、ポスターとポストカードでした。

b:ぺーパーアイテムの成り立ちは、ふた通りありましたよね。

:はい。作り方は大まかにいうとふたつあります。ひとつは、鹿児島さんの一枚もしくは複数のうつわから、図案を抜き出し、僕がデザインで再構成するものです。

b:お皿から図案を抜き出すというより、作品からお皿のフォルムをなくしたらどうなるかという表現のほうが近いですか?

:そうですね。僕はそういう考え方で取り組んでいました。

花のモチーフのポスターの写真

b:一番最初に、前田さんが提案してくれたのは、花のモチーフを並べるというこのポスターでしたね。

:お皿のフォルムを完全になくすとしたら、真っ白や真っ黒の地色の上に絵柄を置くのがいい。そうすれば、おのずと図案に目がいくだろうなと思ったんです。

b:なるほど。

:それで、まずは、花のモチーフを並べてみました。そうしたら、思っていた以上に自由で楽しいかんじになったんです。それで、今度は、いろんな花の図案を組みあわせてみようと。

鹿:この花のモチーフは、同じ形のお皿の連作からとったものですね。一枚一枚違う花が描かれた板皿の図案です。

:お皿だと、一枚ずつ違うものが描かれているけれど、ポスターなら複数のお皿の図案を一斉に構成することができます。

b:鹿児島さんの作風をハンドメイドのお皿とは、また違った形で表現するのに、ぴったりなモチーフでしたね。図案展で展開する最初のプロダクトという意味でも面白かったと思います。

鹿:陶芸では、丸いお皿に描くことが多いので、ポスターのグラフィックとして、四角い面に再構成するというのも新鮮でしたよ。

ふたりで話している写真

:最初は、鹿児島さんが描いたモチーフを、僕が勝手に動かしていいものかと不安がありましたけど(笑)。

鹿:動かしなされ、動かしなされ(笑)。

:ありがとうございます。

鹿:前田さんには、biotopeでの最初の個展からアートディレクションをしてもらっていて信頼しています。どんどんやってください。前田さんがやってくれるという喜びはとても大きいんですよ。

:ポスターやポストカードについてはとくに、どの図案を使い、どう再構成するかなど、ほとんど僕に任せていただいていますよね。それも嬉しいです。

b:図案展では、会期の前半には、壁面を使った展示で、図案の成り立ちやプロダクトの作り方をお客様に知って楽しんでもらい、後半に1日だけハンドメイドの作品を展示する日を設けました。

鹿:図案の展示と一緒に、お皿も数点飾って、ゆっくりと鑑賞していただくことができたと思います。

b:おかげさまで、図案展は、1年目からとても好評でした。

:図案展のテーマに合わせて、ペーパープロダクトも毎年進化しています。図案を再構成していくのは、やればやるほど面白いです。別々のうつわから、サンゴとか魚とか、海に関するいろいろな図案を集めて再構成させてもらったこの魚のポスターも楽しかったな。2回目の図案展のときのプロダクトですよね。

鹿:このときは、ハンドメイドのお皿にも、魚をたくさん描いたんですよね。

b:そうでした。2014年の図案展です。この魚の図案でペーパーナプキンも作りましたね。

次回は、その他のペーパーアイテムのお話です。

お魚のポスターなどの写真

Q1 紙のプロダクトをつくったきっかけは?

 

ZUAN & ZOKEIのプロダクトの成り立ちや誕生秘話を、鹿児島睦とともにたどる Talk with Makoto Kagoshima。Vol.3は、ペーパーアイテムです。

biotope(以下・b):鹿児島さんの作品の魅力を、ハンドメイド作品とはまた違った形で楽しんでいただきたいと思ったのがきっかけでした。

鹿児島睦(以下・鹿):ハンドメイド作品は、僕がひとりで作るもので数に限界があります。個展に見に来ていただいても、手に入れられないお客様がいらっしゃったんです。

b:biotopeでは、学芸大学でショップを開いていた2008年から鹿児島さんの個展を開いていますが、鹿児島さんの人気は毎年どんどんあがっていって、外苑前のdoinelで展示をするようになってからは、お客様の行列ができるようになりました。

鹿:ありがたいです、ほんとに。でも嬉しい一方で、作品展ですからゆっくり鑑賞していただきたいという気持ちもありました。

b:整理券を配って、少しずつお店に入っていただくような工夫もしましたが、それでもゆっくり鑑賞しながら選ぶというのは、難しくなっていましたね。

pottery in powder
potteries in powder

b:個展の初日に、作品の多くがなくなってしまいました。嬉しいと思うと同時に、せっかく会場に来てくださったのに買えなかったお客様や、鹿児島さんの作品に興味を持ち始めたばかりの方にも、楽しんでもらえる展示会はできないだろうかと考えるようになりました。

鹿:biotopeから、ハンドメイド作品以外にも、見たり、手に入れたりできるものがある展示会をやってみませんか?という提案をいただきましたよね。

b:はい。実際には、アートディレクターの前田景さんを交えて考えていきました。前田さんは、学芸大学のbiotopeで開催した最初の個展の時から、鹿児島さんの展覧会のDMなどのアートディレクションをずっと担当してくれています。

前田景(以下・前): 最初の展示会のDMのことはとてもよく覚えています。作品のうしろに白い山が写っていますが、これは、小麦粉を使って表現しました。

鹿:そうそう。あれはとても綺麗で素敵でしたね。

:鹿児島さんが「陶芸は、粘土という生地をこねて成形して焼く。パンを作っているみたいな工程なんですよ」と言っていたというのを、biotopeから聞いたことがあって、僕には、それがすごく心に残っていました。

b:鹿児島さんの言葉にヒントを得て、展覧会のタイトルを「potteries in powder」にしました。それまでの鹿児島さんの作品はかわいらしい世界観が強かったんですが、biotopeで個展をしていただくにあたって、他の北欧のプロダクトとおなじ視点で紹介したいという気持ちがあったんです。

:色を使うというよりも、白を基調にしたイメージを作ってもらいたいという要望を、biotopeからもらいました。それで、パンの原料の小麦粉を使って表現しようとひらめいたんです。

鹿:そのひらめきが、さすがですよね。

b:biotopeで日本の作家のものを紹介するのは初めてでした。前田さんには、DMだけでなく、鹿児島さんを紹介するサイトのアートディレクターもお願いしました。

鹿:前田さんのあのときのお仕事は、とても印象に残っています。

b:他にも、鹿児島さんのアトリエの紹介「kagoshima makoto atelier」や料理家・たかはしよしこさんとコラボした「鹿児島食堂」にも、前田さんが関わってくれました。biotopeやdoinelの展示会のDMは、ずっと、前田さんにお任せしています。

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:鹿児島さんの作品が多くの人の共感を得ていくのを毎年見ていたので、ハンドメイド作品以外にも、見たり、手に入れたりできるものを展示販売していくという企画には、とても興味をもちました。

b:具体的には、鹿児島さんの描く「図案」にフォーカスするアイデアが浮かびましたね。

:いまでは、ZUAN&ZOKEIブランドにまで発展したZUAN(図案)という言葉を使うようになったのが、このときですね。

b:鹿児島さんの作品の魅力は、図案にあるんじゃないかと仮定して、うつわから図案だけを独立させたらどうなるか。それを紹介する展覧会をやってみようと。

:鹿児島さんは、この案を最初に聞いたとき、どう思いましたか?

鹿:描いている自分自身では絶対に思いつかない発想だったので、単純にすごいなあと思いましたよ。

:僕は、グラフィックデザイナーとして、紙でなにかを作りたいというのがありました。鹿児島さんのお皿から図案だけを独立させていくなら、ぜひ、ペーパーアイテムをつくりたいと思ったんです。

b:それで前田さんが、ポスターとポストカードをつくることを提案してくれたんですよね。

次回は、どんなふうに制作を進めたか教えてください。

ペーパーアイテムの写真